111人が本棚に入れています
本棚に追加
「昨日も帰りが遅かったしね」
「うっ」
妙に嫌なとこを突くのがたまに傷だが。
無理もない。なんやかんやあって、帰ったのは昨夜の十時過ぎだったのだから。
「何をしてたのかは知らないけど、無理はしちゃ駄目よ。今日もね」
だが、母さんは俺を止めようとはしない。
母さんは基本的に放任主義なのだが、重要な分かれ道の時はいつもフォローしてくれる。
この場にはいないが、父さんは出張が多くてなかなか会えない。
その代わりなのか、出張先で変なお土産を買ってきてくれる。前は新撰組の袴を買ってきた。
父さんに悪いが、それを貰った時は反応に困ったね。
他の家族がどうか知らないけど、俺としては誇れる家族だ。
「分かってるって。んじゃ、行ってくるよ」
着替えなどの荷物が入ったボストンバックを背負い、ドアノブに手をかける。
最初のコメントを投稿しよう!