ある日常の出来事

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  「昨日も帰りが遅かったしね」 「うっ」 妙に嫌なとこを突くのがたまに傷だが。 無理もない。なんやかんやあって、帰ったのは昨夜の十時過ぎだったのだから。 「何をしてたのかは知らないけど、無理はしちゃ駄目よ。今日もね」 だが、母さんは俺を止めようとはしない。 母さんは基本的に放任主義なのだが、重要な分かれ道の時はいつもフォローしてくれる。 この場にはいないが、父さんは出張が多くてなかなか会えない。 その代わりなのか、出張先で変なお土産を買ってきてくれる。前は新撰組の袴を買ってきた。 父さんに悪いが、それを貰った時は反応に困ったね。 他の家族がどうか知らないけど、俺としては誇れる家族だ。 「分かってるって。んじゃ、行ってくるよ」 着替えなどの荷物が入ったボストンバックを背負い、ドアノブに手をかける。  
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