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風化して崩れた石柱に、蔦が被うようにして巻かれている。
いかにもって感じの空間に、その宝箱はあった。
よかった……。これでクエスト終わりなんだよな。
油断すると今にもその場にへたりこみそうなので、自分の体に喝を入れる。
ゲームの世界でも筋肉痛とかあんのかな、などと思いつつ、ゆっくりと前へ進む。
その煌めく宝箱に手をかけ、ふと手を止めた。
鍵とかかかってねぇよな?かかってたらどうしよう?
一度止めた手を、再び動かす。
ギィィ、ときしむような音を奏で、宝箱は開いた。
開いた先には――――
「……なんだ、これ?」
中身は一冊の本だった。
読書なんて国語の授業くらいしかやらない俺への当てつけか?
だとすると、運営の性格の悪さが窺える。
入れっぱなしにしとく訳にはいかないので、とりあえず取り出す。
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