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午前の授業が終わり、俺は弁当を食べようと琥珀に声を掛けた。
「琥珀!」
「ん?何?」
「弁当食おう、弁当」
「いいよ、でも僕食堂なんだけど…」
琥珀は少し困ったように眉を下げた。
俺は笑って構わないと伝えると、琥珀は嬉しそうに鞄から財布を取り出していた。
その姿を眺めていると、背後に人の気配。
振り返れば、恋人が弁当を持って立っていた。
「ねぇ晃ちゃん、一緒にお弁当食べよう?」
「えっ…いやでも俺琥珀と…」
「えー…っ…」
恋人は不満げに頬を膨らませる。
その姿に困っていると、琥珀は眉を下げながら俺に言った。
「僕のことはいいから、恋人と食べなよ。僕より恋人を大切にしなきゃ。」
「んーっ…悪い、琥珀!明日は一緒に食おうな!!」
「うん…また、明日…」
俺は琥珀と別れ、恋人と弁当を食べるために教室を出た。
俺はこの時、あんなことになるなんて思っても居なかった。
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