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辺境の小さな国、ラスィ。 山奥の不便な土地のおかげか、他国からの旅人や行商人は滅多に来ない。 だがラスィの国民の身体能力、知能は高く、特に困ることは無かった。 彼らに共通しているのは、白い肌、紫がかった青い瞳、髪もやはり紫がかった青で、とても美しい。 その国の姫は生まれてから一度も外に出たことが無かった故に、肌の白さや瞳の色は一族の誰よりも際立って美しかった。 そして明日、その美しい姫は16才の誕生日を迎える。 16才になると、代々王族に受け継がれてきた琥珀色の水晶を継承することになっていた。 水晶には不思議な力があると言い伝えられてきたが、姫にとっては大して意味のない言い伝えに過ぎなかった。 16才で継承し、17才で国で一番強い者と結婚しなければならなかったのだ。 恋もしたことがない姫は憂鬱で仕方なかった…。
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