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実方は心配顔で、僕の顔を覗き込んできた。
「樹弥はいつも暗いねぇ。今日は顔色悪いよ。なんかあったのか?」
「うるさい奴だな、僕は陰キャラとしてキャラ立ちしてるんだ。今日特に暗いのは、雨だからだ。靴下がぐちょぐちょなことで、さらに不機嫌になっているんだ。察しろ。それなのにお前にかまっていられるのは、明日は休みだからですまる。」
「なるほど、樹弥らしい回答だな。なんなら俺の靴下貸すぜ?」
「おっ、替えを持ってきているのか?借りたいところだけど、さすがにお前がいくら男勝りだからといっても、男の僕とはサイズが違うだろうし」
「そ、そ、そうだな!俺は小さいからな。28.5しかないし」
「ああ、確かにサイズ違いだったな」
「うっ、だけど幅広甲高だから、足の長さはミキティと同じくらいだぜ?」
「変なニックネームをつけるな。それなら靴下を借りるよ」
「うん、いいぜ。っておい!」
「やめろ、急なノリツッコミはビビる。」
「さすがの俺も傷つくぜ!?女子高生から靴下借りますか?普通!?」
「いや、貸してくれるというから、借りますと答えただけであってー」
「女の子だからな!女の子なんだぜ!お前の眼にはどう映ってるんだよ樹弥!」
_____そんなこと言えるわけない。
「えっ・・・女子高生なんじゃないかな。」
「無理したろ!ぜってぇ無理したよな!」
「頭は悪いが、スポーツ万能、容姿端麗で女子からの人気は高い。」
「そうなのか?」
「知らん」
「救いがないじゃないかぁ?」
「一つだけ事実がある」
「なになに??」
「頭は悪い」
「泣けてきたよ樹弥」
なんやかんやそうこうしているうちに帰宅してしまった。
実方がいると時間が経つのが早く感じる。
とても有意義であった。
実方は終始、様子が変だったが、理由は教えてくれなかった。
いや、実方のことだから拾い食いでもして、食あたりをおこしたに違いない。
だが、あいつの胃は鉄でできていると、昔噂で聞いたことがあるが本当だろうか・・・。
真相は闇の中だ。
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