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僕の身長を、出会って一年足らずで抜いていき、学力は僕を順調に下回って行った。
今思えば、同じ高校に入れたのも、僕の指導が天才的だったことを物語っている。
小学六年の時、いじめられていた僕を助けてくれたのが、初めての出会いだった。
堂々とした物腰、張りのある徹る声、そして自信満々の物言いはあっけにとられたものだ。
「あんなぁ!弱い者いじめをする奴は今ここで俺がぶちのめすかんな!」
かっこよかった。
奴は僕のヒーローだった。
言葉通りいじめっ子をぶちのめし、自分の財布にしたということを、後で聞いたとゆうか、本人から聞かされたときは心底失望したが、そんなこと奴は気にしなかった。
「俺を中心に世界は回ってるんだぜ?だって今俺が見ている世界は俺にしかみえないだろ?うんうん」
中学に上がっても奴は変わらなかった。
不変で、絶対的な阿呆として君臨していた奴は、不動の体力一位、学力最下位を誇っていた。
しかし、天が何をしたか知らないが、いきなり奴は僕に頭を下げてこう言い放った。
偉そうに。
「お前さぁ・・・赤上高校行くんだよな?進学校の・・・俺の学力じゃいけそうにないんだよねえ・・・一緒にいてやるからその分だけ俺に勉強教えろよ」
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