真っ赤な果実

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なんてね。 中2なのに何このドライ思考。 あ、中2だからか。 一部除く全校生徒が掃除してる中、僕は使わない箒片手に、廊下の手すりに背中を預け、窓の外に頭を出す。 「あ~…東京行きて~。ゆくゆくは海外~」 「英語苦手な奴が何言ってんだよ!」 横でヤンキー座りしてる友也(トモヤ)が相槌を打つ。 「だってあれって英語っつーより呪文でしょ」 「同感~わらわら~」 「なにそれ」 他愛もない普通の会話。 普通。普通。何もかも普通。 「ちょっとそこの男子ーっ手動かしてよーっ」 ドアの向こうから女子が悪口交じりに声を張った。 僕たちは顔を見合わせ溜め息ついた。 「「…あーい」」 僕は友也と連なって教室に入っていく。 柔らかい肉の集団。 真っ赤な果実を併せ持ってる体。 そんな女子を羨ましく、 そして憎らしく思う。 あれ?普通ってなんだっけ? 思考回路だけ、あの日のまま、普通を会せないでいる。 ...
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