2章

2/6
前へ
/15ページ
次へ
ふむ。 困ったな。 よく考えたら準備するものなんて 特になかったから 早速ノワールにある森に転移で来たんだけど、 僕、いきなり魔物の群れに囲まれてるよ。 群れの中に出たみたいだね。 「グルルルルルゥ…」 低い唸り声でこっちを威嚇してくる灰色の狼型の魔物。 ざっと、30匹ぐらいかな? 「君達じゃ退屈しのぎにもならないよ。」 人語がわかるかどうかはわからないけど、一応警告してみた。 すると群れから一匹、他と比べても3倍近い体躯で毛色も黒い狼がでてきた。 「人間、我等フェンリルの末裔を愚弄する気か? ただ黙って餌になっておればよいものを。」 ふーん。 フェンリルの末裔か。 フェンリルっていうのは白い毛色の狼で、悪魔の化身と呼ばれている伝説(になっているらしい)の魔獣。 「君達がフェンリルの末裔かどうかなんて知らないけど、 早く帰れよ。 これ以上は抑えきれない。」 僕のセリフと共に溢れ出す膨大な狂気。 大半の狼は気絶し、 黒い狼も恐怖に体を震わせている。 ギリギリで意識を保っていた狼達がこちらへ飛びかかろうと身構える。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加