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僕の目の前の空間に魔素による渦ができる。
この空間に干渉できる人物を
僕は1人しか知らない。
いや、1人しかいない。
その渦から現れた男は一言だけ
こう言った。
[ついてきなさい。]
脳内に直接響くその声に肯定の意思だけ示し
久方ぶりに自由になった手足の感覚を確かめる。
僕が手足を動かしているのを
男はしばらく見て、
また渦の中に消えていった。
男の気配を
見失わないように僕も渦を作り出し、
何も思い出なんてないこの空間を後にした。
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