プロローグ

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名前なんて大嫌いだった。 この女みたいな"みずき"という名前はいじめの原因でもあった為、 弱虫な俺は自分の名前も自分も大嫌いだった。 「やっぱ女の子なんじゃん。なんでズボンはいてんの? スカートはけよ」 「ぼ、僕は……女の子じゃ……ないっ、もんっ」 ぐすぐすと鼻水をすすりながら訴えると いじめっこ達は笑って決まってこう言う。 「泣き虫だし名前からして女の子じゃん!! それなのに女の子じゃないとか。みずきちゃん冗談はよそうよ!!」 げらげら笑いながらいじめっこ達は言った。 そうだ。こうやって何もかも言われるのは名前がいけないんだ。 姿だって女の子っぽいってよく言われる。 男なのに女って言われるのはなんとも嫌で恥ずかしい事である。 男なのに女の子みたいな名前で泣き虫で……。 それが理由で学校に行くのが嫌で、いじめられるようになってからは 弱々しくなった。反抗も出来なくて、ただ泣くことしかできなかった。 「女の子はさぁ、ままごととか好きなんじゃないの? ほら、あっちでしてこいよ!!」 ぐいぐいいじめっこは背中を押す。 「や、やだよぉ!!」 背中を押されるのを必死に堪えていると一人で背中を押していたのをどんどん数が増えて 大勢で背中を押してくるため、耐えきれず倒れてしまって、痛くて痛くて 心も体も痛くて……。 「もっ、もうっ……やだっ……ううっ……ぐすっ」 「またみずきちゃん泣きだしたー、弱虫泣き虫みずきちゃん!!」 倒れたまま泣いていじめっこの顔なんてもう見たくなくて ふせたまま泣いていると何故か周りが辺りが少し騒がしくなった。
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