沈黙

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「お前の剣、帝国の紋章じゃろて、そんな物を持つ特殊部隊なぞ狼しか居らぬわ」 老人はガハッハッと笑った ヒロシは呆気にとられていた ナータが入って来る 「名前は?私はナータ」 笑顔を作ったその頬にエクボが出来る 「知らない方が良い」 「じゃあ、私が付けてあげる、ソラってどう?」 《どう?って言われても》 ヒロシはキョトンとしたままナータを見た 「空から落ちて来たからソラ、決まりね」 《おいおい》 ヒロシが黙っていると 「嫌だった?」 と不安そうに聞いて来た 「いや、良いよ」 《仕方ねぇか》 ヒロシが応えると嬉しそうに笑った ナータが部屋を出て行った後、ヒロシは一人考えていた 老人の話によると、ここは最下級層のヤクソンと言う無法地帯の街だ、ヒロシは帝国に聞いた事があった、犯罪無法都市最下級層ヤクソン、帝国軍とて手を出す事が出来ないと 《あ~あ、今頃、帝国は激怒の如く怒ってんだろうなぁ》 深いため息をつき 「いっでぇ、くそっ!」 と呟いた 翌朝ヒロシは立ち上がっていた 「まだ寝てなきゃ駄目だよ」 水を持って来たナータが驚いて言った 「大丈夫だ」 「狼の力か」 老人がパイプの煙を揺らせながら言った 「はい、ある程度の傷は3日もすれば完治します」 ヒロシはフードコートを着ながら応えた 「何処へ行く」 「帝都に戻る」 老人が出口を塞ぐ 「何のつもりだ」 「噂がたっている、【漆黒の闇】がヤクソンに入ったと」 ヒロシは眼を見開いた、老人が紙袋を差し出す、中には髪染めとコンタクトにメガネが入っていた 「暫く此処に居なさい、親戚だと周りには言っておく」 「貴方は…」 「ワシは昔、国王陛下に命を救われた者だ、ワシの名はゼクだ」 ゼクと名乗った老人は 『今、出て行ったら確実に捕まるぞ』 と言って部屋を出て行った ヒロシは髪を黒に染め黒のコンタクトをしメガネをかけた 「ソラ」 ナータが入って来る 「朝ごはん出来たよ」 「ああ、わかった今行く」 ヒロシが初めて部屋の外に出た
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