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「アランツ、転送は極力避けろ、ヤクソンにはサイコキネシスも居るからな動きがバレる恐れがある、セシリアのテレパシーは大丈夫として、シールドは完全に張るように」
「了解」
「長官、帝国は?」
ユリが聞くと
「国王陛下に報告してる」
「今回の事でヒロシがまた月に連れて行かれるって事になるんじゃ」
シュウが言うと
「なるかも知れねぇ」
キラが頭を掻きながら言った
『レイク、突発的な事とは言え、どう責任をとるのだ』
「申し訳ありません」
『ヤクソンに【漆黒の闇】が入ったのなら先に見付かる可能性が高い』
「わかっています、今夜、特殊部隊をヤクソンに潜入させます、ヒロシの手枷の発信を拾えば直ぐに見付け出せます」
『ヒロシがヤクソンに落ちてどれほどたつ』
「5日です」
『見付け次第、救出し今後ヒロシは月にて預かる』
帝国が真っ直ぐ国王陛下を見る
「断る、ヒロシは俺の傍に置く」
『レイク!』
「狼を地球から引き離す訳には行かない」
帝国は通信を切った
「帝国、あのような事を言ってしまわれて大丈夫なのですか?」
カイが心配そうに聞く
「大丈夫な訳ねぇだろう」
「帝国」
カイが焦る
「カイ、俺もヤクソンに行く、準備をしろ」
《ヒロシ、迎えに行くからな》
帝国は足早に本部に向かった
【漆黒の闇】の武装隊がヤクソンの街を巡回し始めた
人工太陽が淡い光を街に注ぐ
「ソラ、おはよう」
ナータと市場に買い物に来ていたヒロシに八百屋のおじさんが声をかける
「おはようございます」
ヒロシが照れくさそうに挨拶する
「ソラ、凄い、市場の人にもう人気者になって」
ナータが屈託のない笑顔を見せる
昨日市場ではちょっとした事件があった、ヒッタクリがあり、たまたま居合わせたヒロシが取り押さえたのだが、帰ってからゼクにこっぴどく叱られた
『目立つ事をするな!』
と、ヒロシは素直に謝った
「ねぇソラ、ずっと此処に居たら?」
「無理だ」
「ごめんなさい」
ナータが、下を向いた
「俺は必ず連れ戻される」
ナータが顔を上げ
「戻りたくないの?」
と聞かれ、ヒロシは自分自身に驚いた
《俺はこのままで居たいのか?》
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