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帝都メディカルセンター
「サトシさん!駄目ですよ寝てなくては」
「うるせぇ、大丈夫だよ」
「長官に怒られます」
「大丈夫だよ、だいたい怪我なんて大した事ねぇんだ、俺もヤクソンに行く」
「サトシさん!」
サトシが病室のドアを勢い良くスライドさせる
「うわぁっ、いてて」
サトシが後ろ手に腕を捻られ声をあけだ
「何を騒いどるんや、ここは病院や」
「は、離せセル!」
サトシがドサッとベットに押し倒される、起き上がろうとすると押さえ付けられ
「いい加減にしろやサトシ、てめえが行って何になる」
セルジオがサトシを睨み付ける
「なっ!「落ち着いて考えろ、陸軍と特殊部隊がヒロシ救出に乗り出した、お前が行ったら確実にヒロシは【漆黒の闇】に捕まるぞ」
サトシは眼を見開きセルジオを見る
「場所は地上じゃねぇんだ、ヤクソンは犯罪無法地帯都市だ【漆黒の闇】にとってもっとも有利な場所だ」
セルジオはサトシから離れ椅子に座る
「サトシ、お前も〈帝国の狼〉だと言う事を忘れるな」
「……」
「ヒロシは救出されたら月に連れて行かれる事になった」
サトシがパッと顔を上げ
「そんな…帝国は何て」
「帝国は断ると言ったそうだが事が事だけに無理だろうな」
「ヒロシは俺を庇って落ちたんだ…」
サトシは拳を握り
「俺が月に行く」
「サトシ」
「双子のどちらが行っても同じなんだから俺が月に行く」
サトシは今にも泣きそうな顔でセルジオに言った
「良いのか?月に行けば、お前は監視下に置かれ鎖で繋がられるんだぞ」
「構わねぇ、俺は今までヒロシに守られて来たんだから次は俺がヒロシを守る番だ」
サトシは低く真剣な声で言った
「わかった、帝国と国王陛下には俺から伝えとく、大人しくしてろよ」
サトシは黙って頷いた
最下級層都市ヤクソン、地下都市より下に位置し昼間は人工太陽、夜は月も星もない暗闇が都市を包む、貧困の都市とも言われ、仕事と言えば地下都市や地上都市に住む上級層、最上級層のメイドや奴隷契約の仕事をしている者が多い、家族の為に少ない給金を送る、ナソンに居たミズキ達も此処から売られて行った
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