プロローグ

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何処まで逃げるのだろう 何処まで行くのだろう 紅く乾いた砂が風に巻き上げられ 彼は些か顔を歪めフードを被り直した 間もなく彼の目指す街が見えて来た 「??!」 街に入る入口に長い行列が出来ていた 彼は最後尾に並び前の方を覗く 《随分と警備が厳しいな》 彼は前に並ぶ商人らしき老人に尋ねる 「何かあったんですか?」 「ああ、盗賊が出たらしい」 老人はしゃがれた声で教えてくれた 「盗賊?」 「ああ、何でも《盗賊 暁》って言うらしいぜ」 老人の前に並ぶ男が話に入ってきた 「帝都の特殊部隊が動いてるって話だ」 《帝都の特殊部隊が動いてる?聞いてねぇぞ》 「まぁ、帝都の特殊部隊が動いてるなら安心だよ」 男は、にこやかに話す 《いやいや、聞いてねぇし、動いてねぇから》 彼は愛想笑いをした 徐々に列は彼の順番まで来ていた 「フードを外し身分IDをお願いします」 彼はフードを外し身分IDを見せる 警備隊が身分IDと彼を見比べる 彼は人差し指を口にあて 「プライベートだから、上には報告しなくていい」 と囁いた 警備隊は頷いて 「ありがとうございました。どうぞ」 と言ったが、声が上ずっていた 彼は苦笑いをし街に入る 赤レンガの街並みをしばらく歩くと、いきなり視界が広がる 中央には噴水があり、周りには噴水を囲むように商店が並ぶ、彼は噴水の横を抜け、一つの路地に入る 先に行くにつれ、緩やかな坂道になっている 彼は〈紅い月〉と書かれた看板の店の扉を開けた カランカラン と軽やかな音がする 「あらぁ、久しぶりじゃないか、脱走してきたのかい?」 カウンターに居た女性が彼に気付き笑顔で言う 彼は方眉をピクッと上げ一応笑顔で 「休暇だよ、休暇」 と言いながらカウンターの椅子に座った 「良く出してもらえたじゃないか」 女性が飲み物を彼に差し出す 「ああ、条件付きでな」 彼はフードを脱ぎながら応えた 左側に剣を置く 「姉貴、盗賊が出たって?」 「ああ、今週だけで被害者が6人だ、皆、商人ばかり襲われてる」 「商人だけ?」 「知らなかったのかい?特殊部隊が動いたって聞いたよ」 「聞いてねぇよ」 彼は不機嫌そうに言う カランカラン 誰かが店に入って来る
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