ポケットのコイン

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愛里とはすぐに上手くいった。 俺は基本、自分のことを進んで話そうとしない。 周りに合わせることも進んですることはなく、時間にはルーズ、言いたいことはハッキリ言う。 それに対しても愛里は文句の一つも言わない。 「約束の時間より10分遅いんだけど。」 「ああ、寝てたから遅くなった。」 一番最初のデートの時、俺は乗り気じゃなく正直ダルかった。 「電車一本遅くなっちゃったじゃん。」 「じゃあ、帰りも一本遅らせれば良いじゃん。」 「元よりそのつもり。」 愛里は怒ることなく、満面の笑みを浮かべたのを覚えている。 「遅れた罰としてお昼奢ってね。」 「出すよ。女に金は出させねぇって。」 「勇人のそういうところ優しいから好き。」 俺はそれに対し、適当に笑顔を振りまいた。
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