優しい心底

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暗い話はやめよう、ということになり、その後は買ってきた酒を残らさないようにと酒を飲みたわいのない話をした。 日にちが変わる頃には、具合悪いとか言い出して寝る奴も出てきたがそれでも楽しくやっていた。 「先輩何処に行くんですか?」 急に立ち上がった俺を見て、目をトロンとさせた千葉が聞く。 「タバコ。仮にも他人ん家だし、女の前で吸えねぇから。」 ポケットからタバコを出し、軽く振って見せる。 「私も外行くー。」 いつもよりテンションの高い千葉がフラッとしながらも、俺について来る。 「寒。」 家の外に出ると、予想以上に寒くて驚いた。 「寒い。」 千葉が自分の体を抱いたのを見て、上着を差し出した。
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