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「もっと頑張りましょうよ! 次なんか待ってたら、宇宙の研究が少しばかり出来ても、未来を変えるっていう大きいプロジェクトは達成できませんよ!」
そう言ってメンバーを鼓舞するキーンズに、倒れこんでいた研究者の一人が反論した。
「オレたちの仕事は、宇宙を研究することだ! そんな夢物語は、単なるオマケでしかないんだ!」
その声を皮切りに、「そうだそうだ!」という声が一斉に飛び交った。
「大体、お前はそれでいいのか!? エタニーが消えちまうんだぞ!」
「わかってる!」
キーンズが悲鳴のような声で叫ぶと、怒号は消えた。
「わかってるとも……。だけど、あいつは俺たちがそんな事をして喜ぶか? 俺だって……俺だって……」
キーンズは、そう言うと涙を流し、床にへたり込んだ。
「さぁみんな。疲れているとは思うが、もう少し粘ってくれ。頼む……」
ハンスがキーンズに肩を置いて、呆然とするメンバーに頭を下げた。
一大プロジェクトのリーダーを務めるハンスにそこまでされたら、とメンバーたちは、碇のように重くなった身体を引きずりながらも、探索を再開した。
二人きりとなった場で、ハンスはキーンズに乗せていた手で、キーンズの肩をポンポンと叩いて、自身も探索に加わった。
キーンズも顔を上げると、それに倣った。
そんなやり取りを陰から見つめる影があった。
エタニーだ。
エタニーは、意を決したように走り出すと、シャトルの問題の個所の前に向かった。
午後四時三〇分。メンバーに部品はちゃんとあったという連絡が入った。
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