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「キーンズ! 部品足りない!」
グレイ型の名前はエタニー。エタニーの世話係を担当していたのがキーンズだった。
「はいはい。ったく、人使いが荒ぇこった」
悪態をつきながら歩くキーンズに、ナットが飛んできた。
「文句言ってねーで働け」
どうやら犯人はエタニーらしい。キーンズの言った悪口が聞こえていたようだ。
「ヘイヘイ」
唇を尖らせて不満を露わにするも、なぜか嫌いになれないエタニーの指示に従った。
「ほらよ」
「ん、どうも」
キーンズが持ってきた部品を取りつけ、作業を進めるエタニー。キーンズは、そんなエタニーに訊きたいことがあった。
「お前って、なんであんな玉みたいな形で、小惑星になんか止まってたんだ?」
「UFOって知ってるでしょ? あれは、ボクたち未来人のタイムマシンなんだ。宇宙じゃないと時間移動は出来ないから、宇宙に出て時間を越えた。でも、ブラックホールに飲み込まれて機体は全壊。命辛々機体から脱出した。で、仕方なく休眠体勢のアレになって、小惑星で休憩してたんだ。で、気付いたら……」
「ここだったってわけか」
キーンズは、未確認飛行体のUFOがタイムマシンだったことに驚いたが、エタニーの話を読んだ。だが、新しい疑問を持った。
「前に『材料がないから出来ない』とかって言ってなかったか?」
エタニーはそれを聞くと、作業を止め、顔を俯けた。表情は分らないが、なんとなく哀愁が漂っているのをキーンズは感じた。
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