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「タイムマシンは、どれだけスピードを出しても大丈夫なように、ある金属でできてるんだ」
ポツポツと語るエタニー。キーンズは、その雰囲気から気付いた。気付いてしまった。
「おい、まさか……」
「そう、材料はボクたちの体。まぁ、死体だけどね」
ははっ、と笑うエタニーは、やはり暗かった。
「だがよ、なんで種族を犠牲にするほど、耐久度がいるんだ? そもそも、なんでタイムスリップなんかするんだよ?」
「タイムスリップするのは、土を持ち帰るためさ。持ち帰って海を埋め立てる。地球以外なら、火星が大丈夫だね。あ、火星のクレーターとかは、ボクたちが土を掘った跡だからね」
さらりと、すごいことを言ったエタニー。
おいおい、俺たちは未来人が掘った跡を調べてたのかよ……、と凹むキーンズだった。
「で? 耐久度が要る理由は?」
「知らない? 光よりも速く移動すれば時間が越えられるって。そんなスピードなら、分かるよね?」
納得。そういえば、何年か前に、亜原子粒子ニュートリノの話があったな。まぁ、あれは計算ミスとかで間違いだったってことがわかったんだっけ……。
キーンズはそんなことを考えていた。
「もういいか? 作業を再開したいんだけど」
「お、悪い悪い。俺はあっちにいるから、なんかあったら呼んでくれ」
そう言ってエタニーのもとから離れるキーンズだったが、ふと疑問が浮かび上がった。
「(あいつ、どうやって未来に帰るんだ?)」
そんなキーンズの疑問を知らないエタニーは、黙々と作業をしていく。
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