始まり To 終わり

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 エタニーしか全体像を知らない機械を作り続ける日々は、それから何年も続いた。  そして2015年が終わるころには、エタニーの思惑通りの機械が合計で28台できていた。ここまでかかった年月は5年。 「なぁ、エタニー」 「ん? なんだい、キーンズ」  機械の完成と忘年会を合わせて開かれたパーティーの途中、以前思った疑問を聞いてみることにしたキーンズは、会場の隅でシャンパンを飲むエタニーに話しかけた。 「お前、どうやって未来へ帰るんだ?」  エタニーは黙ってしまった。 「やっぱり帰れないんだろ?」  キーンズと比べると、かなり細い手足。飲み干したグラスを床に置き、体操座りをするエタニーは、消え入りそうに見えた。 「あのな、キーンズ……」 「ん?」  開発中の出来事を振り返り談笑し合う同僚たちを、床に座って眺めていたキーンズは、漸く口を開いたエタニーに、その方向を向いて話を聞く体勢になった。 「前に、ボクが未来の話をしたのを覚えてる?」 「あぁ。土を運んで埋め立てるって話だろ?」  キーンズは、エタニーとそれなりに話すようになり、言葉遣いも砕けてきたころの事を思い出していた。  丁度、今自分がした質問も、その時に思いついたんだっけ。と振り返るキーンズ。  しかし、エタニーは、驚きのことを口にした。 「実はアレ、ボクが生まれる100年くらい前までの話なんだ……」
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