そこにある左手

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俺は耐え切れなくなり、「何なんだよ!」と言いながら後ろを振り向いた。 かなり強い口調で言ったのだが、女の人は全く動じずうつむいたまままだ笑っている。 その時、やっとエレベーターが1階に到着しドアが開いた。 俺は助かったと思い、早足に外へ出ようとすると、女の人が俺の去り際に今度はこう呟いた。 「私の左手見たよね? これで終わりだと思う?」と。
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