静夜。

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  ヘッドホンから流れる音楽に身体を委ねながら、今日もいつもの屋上に寝転んでいた。     空が、青い。     静かに流れる雲を見上げると、 鳥が飛んでいた。 そいつは黒色をした鳥で、 餌でも探しているのだろう。 緩やかに飛行している。     ただ、それを見てる。       制服のシャツが皺になるだろうな…、と。 ふと、瞬(シュン)は思った。   屋上の緑色のコンクリート。 日陰の為か、程よく涼しいベストポジション。 何より、誰も居ない事が、重要なポイントだ。 何しろ、屋上の鍵を持っている生徒など自分の他に誰一人として居ないのだから。   白いシャツに指定の紺ネクタイ。 ネクタイは緩く、控え目に第一ボタンだけ開けていた。 上に着ていたベストは近くに脱ぎ散らかされている。   ″学生″というのが 瞬は、実は嫌いだった。   縛られているような、 そんな息苦しさを感じる。   周りに流されて 受け答えしては愛想笑い。   学校の奴なんて そんな程度の付き合い。     薄ッペラナ 友情ナンテ要ラナイ。     両腕をクロスして顔を覆ってみる。 まるで世界を拒絶してるように見えるかもしれない。     けれど、本当は。     世界が拒絶してるんだ。 
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