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それにしても、この近所のおばさんが話す父の所業はゾッとするものばかりだ。
曰く、喧嘩相手を橋の上から突き落としただの、当時近所に住んでいたアル中を白昼堂々木刀で半殺しにしたあとにガソリンかけて火をつけようとしただの……。
息子である自分ですら背中が冷たくなってしまうほどに父は凶暴であった。
よく……そんな人間と一緒にいたな……母さんは。
「……だから、あまりにお父さんがひどいから一度お母さんはあなたを置いてパチンコ屋の店員と逃げたこともあるのよ?」
「えっ?」
「おい!お前それは…」
隣に居たおばさんの旦那さんが慌てて注意をするが、それを制止して俺は話を促す。
「おばさん……それは俺が何歳くらいの時ですか?」
「そ、そうね……あなたが三歳くらいのときかしら」
口が過ぎたのに気づいておばさんの舌が重くなるが、俺は居住まいを正し、
「おばさん…自分はもう子供ではないです。よかったら詳しくお話を聞かせてもらえませんか?」
話してくれるようお願いする。
「そこまで…言うのなら」
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