三毛猫と、手紙

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~栃木県 那珂(ナカ)市 ある路地裏~ 朝霧の立ち込める早朝の路地裏を、一匹の三毛猫が歩いていた。 赤い首輪が特徴の、毛並みの綺麗な三毛猫だった。 「にゃ~」 しばらくの間あても無く歩いていると、前方から黒猫がやって来るのが見えた。首輪に巻き紙が挟んである。 「にゃにゃ」 「んにゃ~」 三毛猫は猫ぱんちで器用に巻き紙を外した。 「んにゃ~にゃ」 「にゃにゃ~ん」 三毛猫が巻き紙をくわえると、黒猫は会釈(エシャク)のような仕草をして去っていった。 踵を返し、三毛猫も再び歩き出す。行き先は自宅だ。 一刻も早く、主人に巻き紙を渡さなければならない……
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