魔法使いと、護り人

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~那珂市 月見川学園高等部 2年3組教室~ 昼休み。天王寺功(てんのうじこう)は友人の門倉啓太(かどくらけいた)星河御空(ほしかわみく)と共に、昼食の用意をしていた。 「午後の体育から数学のコンボは嫌がらせとしか思えないな……」 功はそう呟くとため息をついた。 「全くだ。睡眠薬とそうそう変わらないよな。飲んだことないけど」 「まあ辛くはあるよね」 他2人が頷く。 憂いていても仕方ないのでとにかく弁当を食べることにし、功は自作の卵焼きを口に運んだ。 「うん、美味い」 少々甘すぎた感はあるが、なかなかの出来だと思う。 「次は砂糖減らしてみるか……」 功がそう言って2つ目をつまもうとした時だった。 窓からツバメが飛び込んで来た。 燕は真っ直ぐに功の机まで飛ぶと、嘴に挟んでいた巻き紙を落として飛び去った。 「功、それって……」 「またあれか?えーと……デートの誘い?」 「違う。仕事の誘いだ」 功は巻き紙を開いて内容に目を通すと、 「じゃあ、行ってくるから」 と言い残し、教室を飛び出して行った。
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