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しかし、もしかしたら違うのかも知れないと考え、何も口にしなかった。
だが、実際に父に言われると、優しさが溢れてくる様な父の声から、事実を聞かされたのだと知る。
満面の笑みで答える父も、楽しみにしている様に見えるのは、恐らく見間違えではないだろう。
去年の夏から行きたかった海。
父の仕事が忙しかった為、あえなく断念したが、行きたくて行きたくて堪らなかったのを私はよく覚えている。
「楽しみね、咲。」
助手席に座る母は、後ろに居る私を見てそう言う。
母の顔も、楽しさでいっぱいだった。
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