プロローグ。

3/20
前へ
/66ページ
次へ
しかし、もしかしたら違うのかも知れないと考え、何も口にしなかった。 だが、実際に父に言われると、優しさが溢れてくる様な父の声から、事実を聞かされたのだと知る。 満面の笑みで答える父も、楽しみにしている様に見えるのは、恐らく見間違えではないだろう。 去年の夏から行きたかった海。 父の仕事が忙しかった為、あえなく断念したが、行きたくて行きたくて堪らなかったのを私はよく覚えている。 「楽しみね、咲。」 助手席に座る母は、後ろに居る私を見てそう言う。 母の顔も、楽しさでいっぱいだった。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加