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梅雨は憂鬱だ。気分が悪くなる。
この国の人間なら、誰でもそうなんじゃないかな。僕も今そう思ってたところだ。
でも、僕が今気分が悪いのは、そのせいだけではない。僕、早瀬純は、友達の一人も作れないまま、夏休みを迎えてしまった。
おかげで勉強三昧。やることもないし。まあ明日からは、少し羽目外そうかな。
「外の雨、どうなってるかなぁ…。」
僕は驚いた。土砂降りの雨にではなく、外から入りこんできた、一人の少女に。
「ぷはぁー!もーやだ。ずぶ濡れよぉ!」
「あの…ええ…?どちらさま?」
「ああ。ごめんなさい。私は…ううん…」
僕はその子の容姿に見惚れた。ショートのピンクの髪、光る緑の目、透き通る様な肌。全てが美しい。何だか、ベレー帽のような変な帽子をかぶっているが、その点を差し引いても、かなりいい。
「あ…あの…前とか…隠した方が…」
「ほぇ?」
僕の眼前の女の子の胸は、雨のせいで透けていた。僕は初心だから。こういうのは慣れてない。
「あー。ごめんね。こういうのは、見せない方がいいんだよね。」
何て恥じらいのないことか。まあ実際、その性格は、僕にとってなんら有利にはたらかないが。
「でも、期待してた人とはちょっと違うみたい…。」
その子は、僕の顔を覗き込むなり、意味のわからない言葉を吐いた。
「指令では、『もしも、頼れる主人公に会ったら』なのに…。」
「え?」
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