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「今から、貴方には神の力に覚醒してもらいます」
「いや、だからそれはどうすれば?」
「特別なことをする必要はありません。ただ、自身の中に何か、別な何かがあることを自覚するだけで結構です。貴方は神に選ばれただけの素質があるのですから、切欠は些細なもので十分です」
うっわぁ、また簡単なんだが、難しいんだかわかんないことを……。
まぁ、取り合えず、やりますか?
俺は目を閉じて、自分の中に意識を集中してみた。
心臓があり、肺がある……とか、そんな構造的な話ではなく。
精神面というか、心の奥に感じる僅かな違和感を辿る。
ボンヤリと頭に浮かぶのはイメージ。
「剣?」
洋剣というのか、白に金の装飾がされた、長めの柄。
その刀身は黄金色だが、柄の割りには短かった。
例えるなら、日本刀の柄にサバイバルナイフの刀身みたいな比率だ。
「出来たようですね」
「いや、わかんねぇけど……」
「別に問題はありませんよ。覚醒していなければ、魔物との戦闘で私たちが死ぬだけですので」
「……超冷静な人なのな、アンタ」
俺はゲッソリしながら溜め息をついた。
今後、このお姉様と旅するのかと思うと先が思いやられるんだけど……。
「では、今度は私の番です」
「お?」
レヴァは、俺に近づくと、不意に俺の右手を取り、
自分の胸に当てた。
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