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「ちょっ!?何をぉ!?」
柔らかく、暖かい感覚が手の平に伝わってくる。
プロテクターにも触れているのだが、それはたいした面積は無いし、黒い布は思ったよりも随分と薄い生地だった。
例えるならばなんだろう……
いやいやいやいや、冷静にそんなものを検索してる場合か?
俺のバカぁあああああああぁぁぁあああっ!!!!!!!
「貴方が自身にやったように、私にも同じことをして下さい。私の中に眠る神の力を呼び起こすのです」
彼女は言うだけ言うと、瞳を閉じて身を委ねた。
離れようにも、案外しっかり押さえられているから出来ないし、変に力を入れるにも、鷲掴みしてしまう気がしてそれも出来ない!
諦めて、頭が沸騰しそうになるが、意識を集中する。
他人の心の中を覗くなんてエスパー技なんて心得はないが、確かに、何かおぼろげなイメージは感じられた。
それは、
「――鎌だ。鎖が巻きついた、鎌」
長い緩い反りのある黒に近い紫の柄に、大きく曲がった死神が持つような刃。
柄の尻の部分から鎖が伸びて、それが、鎌全体に蔦のように巻きついている。
「……そうですか……。――はい、私にもソレが感じられました」
レヴァはゆっくりと瞳を開けると、納得したような、寂しそうな、不思議な表情を浮かべて、俺から数歩離れる。
なんか、ほっとしたような、残念なような、複雑な気分だ!!
心臓のバクバクをどうにかして、落ち着かせようと深呼吸を繰り返す俺に、レヴァは
「それでは、さっそく試してみましょうか?我々に宿った神の力を」
「試すって、だからど~すん――」
そこまで言いかけた俺の言葉を、
「アレと戦ってみましょう」
と、素っ気無いレヴァの言葉と、
俺達をおおう黒い影が遮った。
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