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「――とかなんとか、そんなノリで終わりだと思ったのだけれども、なんで私こと、九条 龍は真っ白の空間で黒い一人用ソファーに座っているのだ?」
思わず、自分の置かれている状況を口に出して言ってしまったよ。
まぁ、しかし、ここはどこ?
マジで真っ白だから、広いのか狭いのかも、分からない……。
取り合えず、ソファーから立とうと思ったら、
『あぁ、そのままで居てくれ、九条 龍くん』
「と、謎の声に呼び止められた。その声は柔らかい男のものだった。高圧的では無いが、どこか、威厳のようなものが感じられた」
『……あ、いや。うん……。なんでナレーション風に言うんだい?あと、ありがとう私の好感度が幾分上がったよ』
「んで、そんなフラグを立ててしまった俺は、未開の新ルートを突き進む感じなの?」
俺はソファーに身を完全に預けて、その声に尋ねる。
『おやおや、随分と余裕があるようだね、龍くん?今の君には疑問や不安などは無いのかい?』
言い方は柔らかいが、きっと声の主は皮肉めいた笑みでも浮かべているに違いない。
絶対性格悪いな。
「俺は死んだ、間違いない。ここはどこか見当もつかない。アンタは何者か知らないし、ぶっちゃけ興味も無い。神様とかその辺じゃねぇの?」
んで、何か?と俺は肩を竦めた。
前から、冷静っうか、冷めてる、と人から言われるが、そういう性格だから仕方が無い。
俺も俺で、随分と捻くれた性格してるよな。自覚してる分だけマシなのか?
『ははは、確かにそうだね。そう、君は死んだし、君たちからすれば私は神だ』
かったるく溜め息をつく俺を差し置いて、自称、神は言う。
『単刀直入に言おう。君には私の統べる世界に行ってもらいたい。そこで私の手助けを頼みたい。拒否権は残念ながら用意していないがね』
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