9人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「見えない」
同じだね、僕も見えない。君と僕が見ている物は、違わないようだ。
「見えなければ、ないのと同じ。つまんない」
そうかなあ、僕は思わない。君と僕の考えは違うようだ。
見える物は同じなのに、それに影響される考えは違うって不思議だね。
「急に私の前から消えちゃった」
そうか、君の前にはいたんだね、彼らは。僕の前には一度も現れなかったのに。
「なんでっ、なんでっ、」
泣いてるのかい?ごめんね、僕にはよく見えないから確かなことは分からないんだ。
「もう、一生見えないの?」
そうなの?なら君も、これからは僕と同じだね。
あれ、よく考えたら違うな。考えてることは違うから同じじゃないね。
それ以前に姿も違うから、同じじゃない。君と僕は違う。
おや、何だろう、この光は?
これが君の言ってた『星』かい?
よく見えないから、わかんない。
「こん、なの、嫌。私は、こんな、の、死にたい」
何が嫌なんだろう。僕に見ることが出来たら理解も簡単なのに。
死にたくなるようなことが、僕の見えない世界で起こってるのかな。
じゃあ僕も思わなきゃダメなのかな?
死にたい。
最初のコメントを投稿しよう!