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「まつ、…いや、連。
俺にも言えない、かな?」
「っ、ふえっ…
わらわ、ない…?」
「ばーか、当たり前だろ。
連が泣くほど悲しかったことを何で笑うんだよ。」
「仕方ねぇなー」なんて言いながら、頭をわしゃわしゃ撫でてやる。…ようやく話す気になってくれたか?
……うん、よかった。
あれから会田ちゃんは「時間調整、頼んでくる」とそっと楽屋から出て行って。
俺と光くんは、それぞれ楽屋の隅の置いてあるソファーに陣取り、話を聞き出そうとしてみたり、泣きやませようとしたりしてる。
イチの様子はよく見えないけれど、ちっこい背中は震えていて。
連もさっきまで俯いたままグスグス鼻をすすっていたけれど、やっとこちらを向いて、ぽつりぽつりと話し始めてくれた。
「あの、ね……?
俺さ、何か変、なんだよ…。
イチがゲームとかマジックばっかだとイヤだし、
構って欲しいし…」
「…うん、」
「イチ、昨日…泊まりにきたんだけど、機嫌悪くて、
けど、俺、無駄に話しかけちゃって、
っ、ひ…き、嫌いって…言われて、ぐすっ」
「…そうだったんだ、
(そろそろ双子ちゃんが結ばれちゃうのか、な?)」
連のすっかり下がりきった肩に手を載せて、ぎゅっと抱きしめてやる。なんか、俺まで切なくなっちゃったからさ。
(なんつうか…娘を嫁に出す父親、いや母親?の気分)
「…ダ、メっ…。
連くんは、…俺の、だもん。」
そんな俺の服を弱々しく引っ張ったのは、イチだった。
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