57人が本棚に入れています
本棚に追加
(蒼井 side)
「…いい?
んじゃ次は、このカードをめくって。」
どうも。
謙くんみてぇにウマく喋れるかはわかんねぇけど、今回の語り手。リーダーの蒼井光。
今日は、イチとふたりで担当してる雑誌の撮影で。スタッフさんの準備がととのうまで、イチにセクハラされつつ、マジック見せてもらってるんだけど。
「……うぉっ…!」
「んふふ、おじさんが選んだのコレじゃなかった?」
「ふん、……これだけどさ。何でわかんだよぅ?」
「くふふ。まぁ企業秘密?……っあ、ちょっとごめん。」
いつもは、まるっこいぷにぷにの手でゲームやトランプばかりいじってる癖に。さっきから、珍しく何回も何回も携帯をちらちら見ては、通話をするワケでもなし、ぽちぽちとボタンを押しまくってる。
「っ、ぷはっ…ははっ、」
「イチ…?
いきなりどうしたんだよ~?」
「だって、おじさん…っ
コレ、見てよ…!」
恐らくメールかなぁと思っていたら、いきなりイチが笑い転げ始めて、その理由も分からないまま、ぼやっと何となくイチを見ていた。そしたら、いきなり、ぽいっと携帯を手渡されて。
送信元 連くん
題名 無題
――――――――――
(・ω・)/
―END―
「…は?」
ちらりと見た画面に映るたったひとつの顔文字。
……全然わかんねえ。
面白いかどうか以前に、意味わかんねえ。
恐らく今日一番のポカン顔をさらしているであろう俺の目の前にはけらけら笑うイチ。
「はぁ、はぁ…あ~笑った!
おじさんごめん。
分かんなかったでしょ?」
イチは、頬がほんのり染まってしまうまで笑った後、笑いすぎて潤んだ瞳でおいらをじぃっと見つめながら、突然問いかけてきた。
(「うん」なんて怖いし口がさけても言えねーけどさ…。)
「あれね、
おじさんに似てる顔文字。」
「うぇ?!おいら…?」
「ん、最近、連くんと面白い顔文字集めるのにハマってて。たまたまコレ見つけたらしいんだけど、おじさんに似すぎてて笑っちゃった。」
最初のコメントを投稿しよう!