お嬢な会長と朴念仁な変人

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    時刻は、PM19:00 あれから、数分間に渡って死闘?が繰り広げられていた。 ただ、屋上で寝そべりながら読書をしていただけだというのに…。 偶然、屋上から飛び降り自殺をしようとする自称生徒会長、九条院明日香を救出。 世間では正義のヒーローばりの行為を遂行したというのに、理不尽な物言いや数々の暴言。 剰え、此方の言い方が気に食わないのかは知らんが、急に自暴自棄に陥ったかのように、道連れにしようという始末。 そして、訳の分からない死闘が始まってしまって現在に至る。 どうしてこうなった…。 「…どうしてこうなった…。」 思わず額に手を当て、苦悩する。 「い・い・か・ら、はーなーせぇーっ!」 今の状況と数分前の状況を説明すると、簡単に言えば拳の語り合い。 つまり、喧嘩をしていたのだが、この女…ただのインドアもやしっ子かと思えば、すばしっこいたらありゃしない。 オマケに多少の護身術やら武術やらの心得があるから尚更たちが悪い。 多少強引だったが、隙を突いて顔面を利き手で鷲掴みそのまま頭上に持ち上げた状態だ。  所謂、アイアンクロー状態。 「これは、暴力ではない。 愛と怒りと悲しみの証の行為である。 俺は嘆かしいぞ…女よ」 「何気持ち悪いこと言って――あ痛たぁ!! いだだだっ!?」 どうやら、うっかり掴む力を入れすぎてしまったようだな。 まぁ、自業自得だ…少しは苦しむがいい。 「愚かなる日本国民よ…いや、生理年増女よ。 これが、俺とお前の差だ…だが、悔やむことはない…お前は女にしては中々、目を見張るものがあるぞ。 しかし、相手がこの俺だったことが運の尽きだったな。」 俺は、宙に浮いている女に労いの言葉をかける。 昨日の敵は今日の戦友(とも)、一度手合わせした相手には最大級の礼儀を…それが、俺のポリシーだ。 「何ごちゃごちゃ言ってんのよ!? 後、誰が生理年増女よっ! この、変態変人野郎ッ!!」 「……………」 若さ故の過ちとは…認めたくないモノだな…本当に。 一瞬でも、女と理解し合おうと思ったのが間違いだったようだな。    
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