お嬢な会長と朴念仁な変人

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    「あの時の俺は全てに置いて奴を凌駕していた…。 たが、ただ一点劣っていたというのならば…それは母性だということに気づいた。 それ以来、俺は特に胸の大きい女を忌み嫌うようになったのさ…以上。」 「いや、意味わかんないわよ…」 「だが、貴様等乳デカ星人にはこれだけは覚えてほしい…」 俺は軽く咳払いをしてから、女の真っ正面に立ち…指を突きつけながらこう言った。 「乳の性能差が必ずしも決定的な戦力差にはならないということを…な」っと 「意味がわからない…。アンタの言っていることも…アンタ自身も」 どうやら、俺の熱い想いが伝わらなかったようだな。 やはり、女とは相容れぬ存在というわけだ。 ただ、人間としての性というべきか、自分が欲している物を他者が所持しているという事実を忌々しく思ってしまう…。 そう、ある一種の嫉妬に近いのかもしれんな。 だが、別に欲しいわけではない。 ましてや豊胸手術など言語道断。 「俺は新人類(オカマ)ではないぞっ!」 「…………気持ち悪っ」 女は徐々に後退りながら俺と距離を取って睨みを効かせる。 俺が気持ち悪い…? 失礼な女だ。 …仮にも命の恩人に対してこの態度。  その無駄にデカい胸を思わずサンドバッグにしてしまいたくなるぞ…女よ。 「……はぁ…っ」 などと思いながら、息を大きく吸い込んで一気に吐き出し、そのまま、屋上の出入り口へと姿勢を向ける。 冷静考えてこんな狂人女にムキになるとは、馬鹿馬鹿しい…。 運が良かったな…。 今日は気が乗らない…今までの数々の非礼は見逃してやるとしよう。 「…興が削がれた。 今日の事は貸しにしといてやる」 何より早く、アリスに会いたいしな。 「ちょ、ちょっと…待ちなさいよ!」 背を向け、扉を前にした俺を呼び止める女…今度は、何だ女? 「…生理が悪化したのか?」 「ちげぇわよ!?…そうじゃなくて、アンタの名前…一応、命の恩人の名前ぐらい教えて欲しいし、後日、御礼でも…」 顔を背けながらブツブツ言葉を発する女…嫌々だが、一応礼儀は弁えているらしいな。 だが、皆も覚えていてほしい…。 必ずしも、善意的な行いが相手を喜ばすとは限らないと言うことを…。
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