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私が死んだらこの子は悲しんでくれるに違いない…だって泣き虫なんだもん。
そう思うと、本当に軽率な行為だったと罪悪感が強くなる。
「…お嬢様? 泣いてるんですか?」
私の異変に気づいたのか、抱きしめられてうずめられていた顔を上げて不安そうな表情をする。
そんな彼女を安心させようと指で涙を拭って頬に手をあてがう。
「…大丈夫よ。 ところで…この散らばっている沢山の飴玉は何かしら?」
辺りを見渡すと所々に散らばった飴玉がまるで星空のようにキラキラと輝いている。
「あっ、これは先ほど、私がお嬢様を探している時に道に迷って廊下で恥ずかしながら泣いてうずくまっていたら、優しい男性の方に貰った物なんですぅ!」
「男の人ですって? アナタ大丈夫だったの!?」
「はいっ! それにここまで連れて来てくださったのも、その御方のおかげなんですよ? 」
この子は人を疑うということを知らない純粋な子どものような感じなので、姉代わりの私にとっては心配なのである。
でも、嬉しそうに話をする姿を見ていると少しだけ妬けきてしまう。
「そ、そうなの? なら、今度改めてお礼をしないとね?」
嬉しそうな笑顔の彼女に反して私の表情が引きずる。
まぁ、お礼はちゃんとしないとね?
あの変な男にも…
「はいですぅ! 私が泣く度に飴を沢山くださって、オマケにきっと会えるおまじないをしてくれたんですから!」
「…おまじない?」
「はいっ! 恥ずかしかったですけど、おでこにキスされちゃいました! えへっ…」
前言撤回…。
私の妹分に手を出すとは万死に値する。
「でも、本当にお嬢様に会えましたから、凄いですね! あの方は魔法使いの方なんでしょうか?」
頬を染めて、憧れを抱いたような尊敬の眼差しで空を見上げている。
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