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季節は春…。
この学園にも桜が咲き乱れる季節がやってきました。
新たな門出を向かえる者。
昨年よりも一回りも二回りを成長を遂げた者…。
それらを、祝福するかの如く…桜の花びらが宙に舞う。
そんな中、入学シーズンを終えると同時にこの学園の二年生へと進級した私は、生徒会長として春を迎えた訳なんです。
「…生徒会長……か……」
別に喜びも何も感じない。決められ事を実行したまでですから。
ただ、一つ。
ただ、一つだけ私がいつも感じるとすれば…“アレ”だけしかない。
いつからだったでしょうか…。
私の中で、ある感情が芽生えたのは…。
時々、自分でも抑えきれないとても危険なこの感情。
それは時が経つにつれて強くなる一方だった気がします。
そんな日々を過ごしていく内に…私は、今の自分に…父に疑問を抱くようになっていました。
“父にとって…私は何なんだろうか”と
これまで、九条院家の後継者となるべく…様々な教育をされてきた訳ですが。
まだ、幼かった私には辛いことではあったが、それでも父には絶対に逆らえません。
この頃から、毎日が苦痛で仕方がありませんでした。
毎日、ベッドで枕を濡らしては…幼い私は、父が喜んでくれると信じて懸命に事に励んでいたんです。
どれもこれも…私が望んだ訳ではないけれど。
全ては父が望んだことだけれども…。
ただ、一言。
“良くやったな…”と、褒めてもらう為に、頑張っていたんです。
でも、テストで満点を取っても…。
どんなに凄い賞を貰っても…父は、眉一つ動かさずいつもこう言うだけでした。
“当然の事だ”と…。
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