お嬢な会長と朴念仁な変人

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    俺は無理に仲良くする必要はないと思っていたが… 親父は義理とはいえ娘が出来た事をバカみたいに喜んで必要以上にコミュニケーションを取ろうとした。 「アリスちゃん! お父さんだよ!」 「…………」 「パパだよ!」 「…………」 「分かった! 日本語がわからないのかな? ダディだよ!」 「…………」 その結果、更にアリスは殻に閉じこもってしまい…親父は泣きながら母親のアイリスに抱き付いて失敗に終わった。 親父は尊敬できる人物で子どもからも好かれるタイプなのだが、考えるより行動する奴なので、デリケートな問題に対しては失敗に終わる場合が多い。 それを見かねたアリスの母親は俺を使って先ずは子ども同士を仲良くさせようと無理やり部屋を一緒にさせられたのだ。 『…アリスをお願いね?』 アメリカ出身のせいか頬にキスをされ、アリスの面倒を見ることになった。 急なことだったので、アリスは部屋の隅に隠れるように身を縮こまらせた状態で俺が動く度に体をビクつかせる。 頼まれた以上、何としてでも任務を遂行しようという気持ちはあったが、先ずは一緒の空間に慣れる事を目的とし2日間は、様子を見ることにした。 「……………」 二日後、アリスは俺が動いてもビクつかせることはなくなり、目線を合わせるどころかこちらを見ようともしなかったのだが、こちらに視線向けるようになっていた。 だが、その間の俺達は会話どころか挨拶すらしていない。 「……………」 「……はぁ…」 アリスはジッと布団を被って俺を観察するように見つめていた。 正直、ムズ痒いくて不快感はあったが、ここで俺が注意でもすれば、今までの努力が水の泡だからな。    
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