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私は、ショックから食事も喉が通らなく…、部屋に籠もる日々が続きました。
一方、父は…普段と変わらずいつも通りに仕事に明け暮れる毎日だったと思います。
まるで、最初から母が居なかったかのように悲しむ素振りもないようで…そんな父の態度が私には理解できませんでした。
「…………ッ」
それが、何故だが…無性に怖ろしくて仕方ありません。
そんな父に恐怖を感じながら私は父の命令に従い続け…
それから、数年の歳月が流れ…今に至るわけですが。
今でも、お父様が…自分の親が理解できません。
母とはあれ以来、会ってはいなく…居場所すら分かりません。
そして、あの日を境に私は
『…私に親なんていない』
そう思うように生きる事で、形式上…父親と呼ばれている人の命令に従う自分を作り上げたのです。
そんな昔の自分を思い出しながら…生徒会の仕事を終えた私は気が付けば屋上に足を運んでいました。
「…嫌なこと、思い出しちゃったな…」
少しだけ憂鬱な気分のまま、ドアノブに手を掛け、ドアを開けると。
丁度、夕日が沈む間際で…眩い赤い光に照らされ、咄嗟に手で顔を覆う。
当たりを見回すと、屋上には人の気配はなく一人になりたい気分だったので都合がよかった。
危険防止用の柵に手を掛け、下校途中の生徒たちを見下ろす。
「…部活帰りかしら…随分と楽しそう」
皆、私と違って活き活きとしている感じがします。
毎日が楽しそうで、まさに人生を楽しんでいる様子だ。
それに比べて…私は…
「……ッ…またっ」
突然、酷い頭痛のようなモノを感じた。
父と母が別れてから感じるようになった痛み。
それと、同時に頭に浮かぶある感情。
そして気づいた時には、柵を越えて屋上の端に立っている自分に気が付きました。
“ここから、飛び降りれば楽になれる”
そんな悪魔の囁きじみた幻聴が頭の中を駆け巡る。
頭を押さえながら、下校途中の生徒が歩いてる姿を覗くと…そのまま飛び降りようと考える自分がいました。
最近になって時々、屋上に来ては同じ事を繰り返している。
「…じっ、自殺なんて…ダメよ…でも…っ」
楽になりたい…。
ただ、そう思いながら。
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