憂鬱な女と変人な男

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   九条院学園高等部二年、何でも百円部部長、神崎楓。  それが、俺の名前だ。  突然、何で自己紹介?  と思うだろうが、この国では先ず最初に己の名を名乗るがルールなのだから仕方がない。  ファーストネームが女性よりのせいか…女性だと勘違いされ易いのだが、断じて女性ではない。  勿論、新人類(オカマ)でもない。  多分、ここが疑問に思っただろうから敢えて説明するが…  部活名が如何にもふざけていると思うだろうが、名以外は真面目な部活動なので安心してほしい。  こう見えても俺は帰国子女で幼少期から中学を卒業するまで、海外で生活をしていた。  この九条院学園には一学年の春が終わりを迎える間際に転入してきた訳だが…最初の印象がよくなかったのか、クラス中…今は学園中から変人扱いされている。  腹立たしい…。  実に、腹立たしい状況だ。  だが、今はそのようなことはどうでもいいことなので、割愛させてもらうとしよう。  話を戻すが…何故、部活名が“何でも百円部”なのかというと。  元々、部活名は“ボランティア部”と言った普通のどこにでもありふれた名だったのだ。  その名の通り、ボランティア活動を主体とする健全な部活動をする素晴らしい部活なのである。  だが、今時の腐れきった人間共が何の見返りもない奉仕活動をするわけもなく…部員数も激減。  廃部になる間際に、俺が転入してきたことで、難を逃れた。  現在では、部活ではなく同好会に格下げの始末。  勿論、部費なんて出るはずもない。  そこで、この状況を打開すべく考えついたのが… 「…部費がでないなら部活で稼げばいいのでは?」  と、思った次第である。
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