第一章・―夜の街―

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 こんな事、続けられないのは分かりきっている。  毎日さぼる訳にはいかない。  ……でも、もう日常に戻るのが、嫌になってしまった。  ふらふらと歩く僕、いつの間にか、とあるビルの前で立ち止まっていた。  見上げると、立ちくらみしそうな感じがする。  そのビルが何だか僕を誘っているみたいで、急に空っぽになった気になる。  虚しさしか感じられない世の中、そんな日常に嫌気がさしたのか。 「……もう、良いかな」  呟いてビルの中に入ろうとすると、不意に呼び止める声がした。
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