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雪が彼を好きになるのに、そう時間はかからなかったのだ。
「榊原は自主研修、どこにいくの」
言って高杉は少し邪魔そうに髪を耳にかけた。中性的な顔立ち。つくづくきれいな顔だ。
「宇治上神社に行って、下鴨神社いって、あとは和菓子作り体験して…かな」
「宇治上神社って桐原水の神社だね。宇治名七水の」
雪は面食らって、目をしばたいた。その通りだ。
「すごい、高杉くん。詳しいの?」
「…行くんだ。僕もその神社」
やった!
食いつきたくなるけどグッとこらえた。境内で会える可能性が見えた。二人一緒に境内を歩く姿がちらっと頭をよぎる。いいじゃん、それ。
高杉はいつも通り静かに笑っている。
「榊原は神社とか好きなの?」
「好きって言うか…」
訊かれてちょっと迷う。
「うーん、そうなのかも。割りと嫌な感じはしないよ。落ち着くし、歴史とかも好きだから」
言ってから後悔がどっと押し寄せた。
神社好きの女子高生ってなによ。
絶対変に思われた!泣きそうになりながら彼の顔色を伺うと、えっ?彼は怪訝な顔どころか、輝かんばかりの笑顔で自分を見ているじゃないか!
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