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カープは子供とは思えない力で軽々とみずきを背中に乗せたまま立ち上がった。
「いい?みずきちゃん、僕が言いというまで目をつぶっていてね 」
みずきはこれからどうなるかわからない不安を感じながら、カープの背中にギュっとしがみついて思いっきり目を閉じた。
「よし! じゃあ行くよ 」
そのときみずきは、体がふわりと浮かんだような感覚になった。と思うのもつかの間に、ポスン、と背中からどこかに座らされた。
「もういいよ みずきちゃん 」
みずきはゆっくりと目を開けると……
「うわぁ」
そこには、一面にみずきの住む町が広がっていた。さっき通り過ぎた商店街やみずきの通う小学校までもが、みずきの手のひらに収まるほどの大きさにしか見えなかった。
「すごい・・すごいすごいすごーーい! 」
みずきは顔いっぱいに笑顔を浮かべ、何度もすごいと言った。
「あんまり動いちゃだめだよ。 一応木の上だから 」
もはやカープの声はみずきには届いていなかった。みずきはキラキラと目を輝かせながらしばらく、この絶景を眺めていた。
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