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そういえば、会った時から気になっていたけど、話に流されて聞かなかった事があるな。
「……あの」
申し訳なさそうに切り出す僕。
「ん、なに?」
でも聞いていいのか?
別に僕が気にすることじゃない気もするんだが……と僕が一瞬悩むと――
「あ、ごめん。私ばかり聞いてちゃ不公平だよね?」
「あ、いや……そうじゃなくて」
――あらぬ気を遣わせてしまった。
でも、この流れを利用して僕が聞きたいことを聞いてみるのも悪くはない……。
「いいよ。何でも聞いて?」
「じゃあ……お言葉に甘えて……」
慎重に言葉を選ばねば……。
「寒くないんですか……?」
「え?」
しまった。フォークボール投げるつもりがストレートを投げてしまった。
いや、野球の事は知らないんだが……。
「いっ、いや……そうじゃなくて、ただまだ気温が上がらないこの時期に、その格好では風邪を――」
「――心配してくれるんだ?」
「あ、いえ……」
心配……してたのかな……僕は?
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