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トントンと担任がその扉をノックする。
すぐに「どうぞ。」と不機嫌ながらも言う声が聞こえた。
担任はそれを聞き病室へと入っていく。
私もノック2回ってトイレじゃなかったけと思いながらも続いて部屋に入った。
「失礼します。」
何もない質素な部屋には一人の男の子がベッドに座っていた。
おまえは誰だと言わんばかりの鋭い視線が私に突き刺さる。
それを見兼ねた担任が私に助け舟を出した。
「えぇっと、こちらは君と同じクラスの御堂恋歌さん。少しそこで会って一緒に来たの。」
私は目を神崎君から外さないまま頭を下げる。
神崎君は何も言わないものの頭を下げ返してくれた。
そしてその後、先生は淡々と学校の事を話し始めた。
私は病室の端でボーッとその様子を見る。
神崎君は全くと言っていいほど、その話を聞いている様子はなかった。
5分後、担任はもう話が終わったのか病室を出ていった。私も後に続き出ようとするが、そこであることに気づいた。
(よく考えたら私この病室に来た意味ないじゃん。)
ドアノブにかけた手をはなし、神崎君に向き直る。
それに気付いた神崎君は私に目を向けた。
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