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「行ってきます。」
今日も私はいつも通り学校へと向かい、登校する途中に出会う友達と挨拶を交わす。
このような何気もない日常が私にとっては大きな幸せだ。
――――――――――
十六年前 春
私はこの町の病院で生まれた。
ある程度大きく、施設の調った病院
私が生まれたとたん両親は大喜びしたらしい。
そして両親は私に恋歌(れんか)という名前を授け、大切に育ててくれた。
ところが生まれて半年したある日、病院での定期検診で私はある病を持っていることが発覚した。
現代の医療技術では決して治すことができない不治の病
私は生まれてすぐに二十歳まで生きられないと宣告された。
その時から両親は私のことをこれでもかという位、溺愛するようになった。
欲しいものを何でも買ってくれ、何かあるごとに盛大なお祝いもしてくれる。
小さい頃は素直にそれを喜んでいた私だが、身体が大きくなるに連れ、それに違和感を感じはじめた。
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