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俺は立ち上がると、村に戻ろうとした。
「ねぇ、ちょっと話聞いてくれない?」
少女は口を開くとちょっと控えめにそう言った。
「俺にそんな事を聞く必要はない。」
「そう。じゃぁこれは独り言。」
俺は何となくその場から離れたくなくなった。
何故だろう。わからない。
「昔々、ある村に一人の女の子が居ました。」
「でかい独り言だな。」
俺が呟くと女の子は、いーの。と言ってそのまま続けた
「女の子は盗賊に親も兄弟も殺され一人になりました。」
「村の数人がその子を養うことになったのだけれど、気にいらないことがあるとその子を虐待する。
そんな日々が続きました。」
そう言う少女の声はどことなく震えていた。
「そしてその子は、ついに名前も奪われてしまいました。
新しい少女の名前は"ナマリ"でした。」
俺は何となく不快感を感じた。
話の内容自体に。ではない
あまりに俺と似ていたのだ。
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