悪行

2/7
前へ
/26ページ
次へ
俺は立ち上がると、村に戻ろうとした。 「ねぇ、ちょっと話聞いてくれない?」 少女は口を開くとちょっと控えめにそう言った。 「俺にそんな事を聞く必要はない。」 「そう。じゃぁこれは独り言。」 俺は何となくその場から離れたくなくなった。 何故だろう。わからない。 「昔々、ある村に一人の女の子が居ました。」 「でかい独り言だな。」 俺が呟くと女の子は、いーの。と言ってそのまま続けた 「女の子は盗賊に親も兄弟も殺され一人になりました。」 「村の数人がその子を養うことになったのだけれど、気にいらないことがあるとその子を虐待する。 そんな日々が続きました。」 そう言う少女の声はどことなく震えていた。 「そしてその子は、ついに名前も奪われてしまいました。 新しい少女の名前は"ナマリ"でした。」 俺は何となく不快感を感じた。 話の内容自体に。ではない あまりに俺と似ていたのだ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加