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親方様と俺はもう一度同時に切りかかった。
天光雷撃。
確かに錯覚してしまうのは剣術に関しては避けたいこと。
だが、逆にそれを利用してしまえば、いい話。
要は、その分のリーチ差を考え剣を振れば、長く持った剣には力が入っておらず、なぎ払うことができるということ。
俺の考え通り、親方様の剣をはじき飛び、地面に突き刺さる。
俺は剣を振るい、突きの構えを取った。
親方様の顔は驚いていたが、同時に微笑んでいた。
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俺は親方様の死に顔を見ながら、もう一度泣いた。
あの村で俺を唯一人間と見てくれた人を、俺は・・
悪魔として殺してしまった。
「さようなら、先生・・・」
俺はそう言うと、少女に近づいた。
だが俺の体には多くの帰り血が付いていた。
嫌われるだろうな。そう思いながら少女に笑いながら問いかけた。
「大丈夫?」
少女は俺の予想とは逆の反応をした。
笑いながら俺に抱きついてきた。
「大丈夫。大丈夫
でも、貴方も大丈夫? 傷・・・」
親方様の一撃の事を言っているんだろう。
天光雷撃における一撃はそう強くないので、心配には及ばない。
俺はそう言うと少女を強く抱きしめた。
俺は生まれて初めて、幸せだと思った。
俺はこの子を守りたいと思った。
だが師匠を殺してしまった悲しみは、それでは消えなかった
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