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「おい悪魔、飯の用意が出来たぞ」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。
わずかに振りかえるとそこには同じ流派の和流が立っていた
「あぁ、わかってる。」
俺はそう言うと黙って和流の横を通り過ぎようとした。
だが、和流の方から聞こえるカチッという音に反応し柄を持つ
予想通り和流も柄に手を当てていた
「悪魔、お前さ、なんで生きてんの?」
「その問いに答える必要はない。」
「いいや、あるね」
和流はそっと柄から手を離す
おそらく正攻法でやっても俺に勝てないことを熟知しているためであろう。
「お前は今は人としての権利を持ってすらいない。
親方様の慈悲があればこそここにすみ、衣服や飯も与えてもらっているが、そうでなければ今ごろはもうとっくにどっかで死んでる。」
「何が言いたい。」
痺れを切らし俺から尋ねる
「だからさ、お前は道具みたいなもんなんだよ。
道具は大人しく従ってろよ」
言い終わるが早いか俺は無意識に抜刀し和流の喉に剣を這わせた。
「俺が道具? それでもいいが、道具に殺される気分を味わいたい変人には初めて会ったよ。」
俺はすっと剣を収めると元の予定通り部屋に向かった。
和流が睨むような眼で俺を見ていたことは、いつものことだ
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