開戦

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「どうした? ハグマ」 玄関の方から聞きなれた声がする その声の主は腕を組み此方に歩いてくる 俺は腕をそろえ頭を下げる 「お早うございます。 親方様。」 親方様は堅苦しい挨拶はわしが苦手だ。と笑いながら楽にするように手で指示する すみません。と俺が謝るともう一度親方様は笑い、俺の隣の木に座り込んだ 「剣を見ていたのか?」 「はい。」 「剣というのは不思議なものでな。」 親方様は此方を見ず、ただ淡々と喋り続けていく 「剣には何故自分が映るか分かるか?」 「いいえ。」 俺は小さく呟くとかすかに首を横に振った。 「自分の業を忘れないようにするためだ。 俺にも多くの業がある。」 親方様の喋る声ははっきりとしながら、若干震えていた 「業ですか・・・」 違う言い方をするならば罪だ。 お前の罪が何かは知らん。 親方様はそう言うと立ち上がり俺に向き直った 「だがわしの業は、まだ拭われた訳ではない。 必ずぬぐい去らなければならない業が私にもある。」 親方様は深く息を吸い込むと面と向かってこう言った 「業の代償を払うまで死ぬな。いいな?」 「はい。」 そこで陽の光が山を越え、周りを照らした
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